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地質調査業務の紹介

皆さん、こんにちは。地質調査の世界へようこそ。 地盤の状態を調べる「地質調査」は、いわば地面の健康診断のようなものです。一度にすべてを調べるのではなく、段階的なプロセスを経て、その土地が持つ性質を深く理解していきます。
このガイドでは、複雑に見える数々の調査・試験を、その目的と役割に応じて3つの大きなステージに分類します。
1. 現場:地面そのものを対象に行う調査
2. 室内:現場から持ち帰ったサンプルを分析する試験
3. 解析:集めたデータを統合し、全体像を描き出す作業
この流れを理解することで、地質調査の全体像が驚くほど明確になるはずです。 それでは早速、最初のステージである「現場で行う調査」から見ていきましょう。

カテゴリ1:現場で行う調査 — 地面の声を直接聞く

このカテゴリには、調査対象の土地で直接行われるすべての活動が含まれます。地面を掘り、その場で強度を測り、土や岩のサンプルを採取する、まさに調査の最前線です。ここでの目的は、地面が発する生の声を直接聞き、物理的な証拠を集めることにあります。
調査・試験項目
主な目的と役割
機械ボーリング調査
ボーリングマシンで地面に孔をあけ、地層の重なり順や種類を直接目で見て確認します。
標準貫入試験
規定の重りを落下させ、その打ち込み回数(N値)から地盤の硬さや締まり具合を測定し、同時に土の試料を採取します。
ルジオン試験
ボーリング孔に圧力をかけて水を注入し、岩盤の割れ目の多さや水の通りやすさ(透水性)を評価します。
地盤の平板載荷試験
地面に鋼板を置いて荷重をかけ、その沈下量から地盤が建物を支える力(支持力)を調べます。
現場密度試験(砂置換法)
掘り出した土の重さと体積を測ることで、自然な状態での土の密度を正確に求めます。
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
スクリュー状の先端を回転させながら地面にねじ込み、地盤の強さを簡易的に判定します。
衝撃加速度法によるインパクト値試験(キャスポル)
重りを落下させた際の衝撃値を測定することで、地盤の硬さを迅速に判定します。
現場CBR試験
道路の基礎となる地盤(路床・路盤)にピストンを押し込み、舗装設計に必要な支持力を求めます。
現場透水試験(立坑法)
掘った穴に水を注ぎ、水位が下がる速さから、地盤への水の浸透しやすさを調べます。
土壌硬度試験
山中式硬度計などの簡易な器具を使い、土の表面の硬さを手軽に測定します。
孔内傾斜計観測
ボーリング孔に傾斜計を挿入し、地すべりの予兆など、地中の水平方向の変位を捉えます。
地下水位計観測
ボーリング孔などを利用して、地下水の水位がどのように変動するかを定期的に測定します。
パイプ式歪計観測
パイプに貼り付けた歪ゲージを使い、地盤がどの程度変形しているかを伸び縮みとして監視します。
調査孔閉塞作業
調査が完了したボーリング孔が陥没したりしないよう、セメントなどで適切に埋め戻します。
モノレール架設・撤去・運搬
重機が入れない急斜面などに調査機材を運ぶため、仮設のモノレールを設置・撤去します。
給水作業(ポンプ運転)
ボーリング調査には水が不可欠なため、川などからポンプを使って現場まで水を送ります。
このステージの役割は二つあります。一つは、地盤の硬さや水の浸透性といったその場のデータを測定すること。もう一つは、後続の室内試験の基礎となる物理的な材料(土や岩のサンプル)を採取することです。
現場での測定は地盤全体の硬さや層の順序を教えてくれますが、その土や岩自体が持つ詳細な「工学的性質」—例えば、水を含んだ時にどれだけ弱くなるか—を知ることはできません。その答えを求めて、サンプルは研究室へと運ばれるのです。

カテゴリ2:室内で行う試験 — サンプルの個性を解き明かす

現場から持ち帰った土や岩石のサンプルは、専門の研究室(ラボ)に運ばれ、より精密で管理された環境下で試験が行われます。ここでは、一つひとつのサンプルの「個性」ともいえる、詳細な物理的・化学的特性を解き明かしていきます。
試験項目
主な目的と役割
一軸圧縮試験
主に粘土質の土を垂直方向に押しつぶし、どのくらいの力で壊れるか(強度)を調べます。
土の粒度試験
土を構成する砂や粘土などの粒の大きさの割合を調べ、土の種類を正確に分類します。
土の含水比試験
土の中にどれくらいの割合で水分が含まれているかを測定する、最も基本的な試験です。
土の液性限界・塑性限界試験
水分量によって土がドロロになったり、粘土細工のように形を保ったりする境界値を求めます。
突固めによる土の締固め試験
土を締め固める際に、どのくらいの水分量だと最も効率よく密度が高まるかを明らかにします。
修正CBR試験
室内で締め固めた土を水に浸し、水分が増えた状態での支持力を測定して、道路設計に役立てます。
締固めた土のコーン指数試験
締め固めた土の表面にコーン(円錐)を押し込み、その抵抗力から建設機械が走行できるかを判定します。
土粒子の密度試験
水分や空気を取り除いた、土の粒子そのものの密度を測定し、土の基本的な性質を把握します。
岩石の促進スレーキング試験
岩石を乾燥させたり湿らせたりを繰り返し、風化によってどれだけ劣化しやすいかを評価します。
骨材の単位容積質量・密度・吸水率試験
コンクリートなどに使う砂利や砂(骨材)が、定められた品質基準を満たしているかを確認します。
ロサンゼルス試験機による骨材のすり減り試験
回転するドラムの中で骨材同士をぶつけ、摩耗に対する強さ(すり減りにくさ)を評価します。
骨材の微粒分量試験
骨材に含まれる泥やホコリなどの非常に細かい粒の割合を調べ、コンクリートの品質を管理します。
六価クロム溶出試験
地盤改良材から有害物質である六価クロムが水に溶け出さないかを確認する、重要な環境安全試験です。
シリンダーフロー試験
流動化処理土のような柔らかい改良土の広がりの直径を測定し、その流動性を評価します。
室内試験の主な目的は、サンプルの工学的な性質を、標準化された手法で正確な数値にすることです。ここで得られる「圧縮強度〇〇kPa」「塑性指数△△%」といった具体的な値が、構造物の基礎設計や斜面の安定計算といった、エンジニアリング計算に直接用いられるのです。
現場と室内で得られた膨大なデータは、最後に専門家によって解析され、一枚の図面にまとめ上げられていきます。

カテゴリ3:解析・事務作業 — 点と点をつなぎ、地盤の全体像を描く

最後のステージは、これまでに集めたすべてのデータを統合し、目に見えない地下の様子を可視化する「デスクワーク」です。点として得られた情報を線でつなぎ、さらには面として描き出すことで、地盤の全体像を明らかにします。ここからが、客観的なデータ収集から、専門家による解釈の領域に入ります。
• 土質柱状図の作成 これは、地面の奥深くを覗く一本の「ピンホール(針穴)」のようなものです。ボーリング調査を行った一つの地点について、地層の種類、深さ、硬さといった完璧で詳細な情報を垂直方向に描き出します。
• 地質断面図等の作成 ここが最も重要なステップです。地質技術者が複数の「ピンホール」の情報を並べ、専門的な知識と経験を駆使して、それぞれの穴と穴の間に何があるのかを推測し、一枚の絵として描き上げます。これにより、点と点だったデータが、連続した地層として繋がった、実用的な地下の地図へと生まれ変わります。
この解析ステージの役割は、生のデータを、設計者や技術者が直接利用できる「意味のある情報」へと変換することです。地層の連続性や分布を専門家の目で解釈して初めて、どこに硬い層があり、どこに軟弱な層が潜んでいるかを正確に把握し、建設プロジェクトにおけるリスクを予測することが可能になります。

まとめ:地質調査の旅

地質調査は、単一の作業ではなく、明確な目的を持った一連の旅のようなものです。この旅を振り返ってみましょう。
1. 現場調査 地面のもとへ赴き、その場でしか得られないデータを測定し、分析の元となるサンプルを採取する。
2. 室内試験 サンプルを詳細に分析し、設計計算に不可欠な工学的な性質を数値として明らかにする。
3. 解析作業 全てのデータを統合し、専門家の知見を加えて地盤の全体像を可視化し、リスクを予測する。
この構造化されたプロセスを経ることで、私たちは目に見えない地盤の状態を正確に理解し、その上に安全で長持ちする社会基盤を築くことができるのです。
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